活用事例①共有名義の不動産対策に家族信託を利用する
状況
Aさんは、Aさん名義の収益不動産(以下、「不動産」といいます。)を一棟お持ちです。
しかし、建物の敷地になっている土地は、Aさん、長男B、長女Cの3人で3分の1ずつを共有していました。
Aさんは高齢であることから、自分が判断能力を失った場合に不動産を売却・管理するのが困難になることが不安です。
できればご自分の思いどおりに不動産を処分したり賃貸したりできなくなることを防ぐために1人の名義に変更をしたいのですが、法人設立等を含めてどの方法が一番よいのかというご相談です。
家族信託の設計
Aさんの財産状況から相続税が課税される心配はありません。
しかし、問題は不動産がAさんのお父さんから相続した財産であったので、法人を設立して売却をすると譲渡所得税が多額にかかる心配があります。
そこで、委託者をAさん、長男B、長女Cの3人、受託者を新設する法人D、受益者をAさん、長男B、長女Cとし、Aさんが亡くなった後は長男Bと長女Cが引き継ぐという設計を行います。
最後に、不動産を売却して長男Bと長女Cが現金化して分けられるよう、家族信託の枠組みを設計することが考えられます。
家族信託を行うメリット
・共有名義の問題を解消することができる
・法人に売却するよりも、信託(受益者等課税信託のうち、自益信託である場合)をする方が譲渡所得税や不動産取得税を節税できる
・お父さん(Aさん)が亡くなるまで、そして亡くなった後にも、不動産を売却したい場合などの柔軟な資産設計を行うことが可能