活用事例③相続対策継続のために家族信託を活用する
状況
Cさんには子どもが二人と奥様がいます。Cさんには、土地甲、土地乙などの財産があります。土地甲などCさんの財産の財産額が大きく、Cさんが亡くなり、奥様も亡くなった際には子どもが負担する相続税が高額になることが考えられます。
また、土地甲、土地乙に収益不動産を建築し、不動産事業を行って、将来的には子ども二人に不動産事業を承継してほしいと考えています。
そこで、相続対策のために家族信託を活用しながら、子ども二人の名義で金融機関からの融資を受けながら収益不動産の建築を検討しています。
家族信託の設計
Cさんの目的の一つは、相続対策です。
このままCさんが亡くなると、相続により奥様とお子様が財産を引き継ぐことになります。
配偶者には、相続した際に相続税の負担が少なくて済むように、相続税が軽減される特別措置(配偶者控除)が法律で用意されています。そのためCさんが亡くなった後の相続では相続税支払いの大きな問題は発生しません。
しかし、次にCさんの奥様が亡くなり子ども二人が財産を相続する際には、配偶者の特別控除などがないので、課税される相続税が多くなることが考えられます。
そのため、Cさん夫妻が亡くなった後の相続対策(=二次相続対策)としてなんらかの手段を講じる必要があります。
また、Cさんの目的として、収益不動産の建築と不動産事業の子ども二人への承継があります。収益不動産を建築するための土地甲、土地乙があるので、Cさんが認知症になって判断能力がなくなったり、Cさんが亡くなったりしても、収益不動産の建築、賃貸管理を行えるようにしておく必要があります。
そこで、土地甲の委託者をCさん、受託者を長男、土地乙の委託者をCさん、受託者を次男とし、それぞれが収益物件の建設ができるように金融機関での融資の手続きやハウスメーカーとの契約ができるような状況にしておきます。
受益者には、Cさんが亡くなるまでをCさん、その後をそれぞれ第2次受益者として長男、次男に設定をします。
家族信託を行うメリット
・認知症になると、判断能力がなくなり、建物を建築するための契約ができなくなることや、銀行からの融資契約ができないなどの問題が発生する可能性があります。
建物を建築するための契約や、銀行から融資を受けるための契約には、ハウスメーカーや銀行との契約交渉、契約事務が必要であり、判断能力がある方が資料の精査と時間をかけた交渉を経て行う必要があります。
また、建築後の収益物件の管理もCさんご本人では不安です。
家族信託の契約をすることで、これらのリスクを回避し、安心して相続対策を行うことが可能となります。